日本茶のルーツを辿れば遥か唐時代の中国に及びますが、日本に伝えられたお茶は多くの人々の努力により、独自の茶文化へと発展してきました。
現在も静岡県といえばお茶といわれるほど、銘茶処として全国に名高く、日本で作られるお茶の約半数以上を静岡県で生産しています。

その中でも大井川流域に連なる川根地域で作られたものは、別格の川根茶と呼ばれ、古来より優秀なお茶の産地として広く知られています。川根茶を指定するお客様は「真のお茶通」といわれるほど愛飲家の皆様に愛され、その名声は茶生産者の誇りとして今も語られています。

澤本園から皆様にお届けしているお茶は、代々受け継がれてきた伝統の製茶法で仕上げております。

近年では、製茶機械や製茶技術の進歩に伴い、画一的なお茶つくりの風潮もみられ、残念ながら個性のあるお茶が減ったといわれます。たとえお茶の主流が簡単さや便利さを優先するようになろうとも安易な妥協をせず、川根茶本来の上品な美味しさを知り、楽しんでいただける方々のために伝統のお茶づくりを頑なに守り伝えていきたいと思います。

茶処に在って一番嬉しいのは本当に美味しいお茶が飲めること。
これだけはどんな所に住むよりもありがたいことだと感謝すると同時に、お茶本来の持つ自然な美味しさや健康にも役立つことを全国の皆様方にぜひ知って欲しいと常々思っています。そしてそれをお伝えして、緑茶をもっと身近に感じてもらえるようになっていただけたら、どんなに素晴らしいことか。

毎日の限られた時間のわずかなひとときを見つけて、一服のお茶に親しみ、急須お茶の葉がゆっくりと開くのを心静かに待つゆとり、そして茶碗から立ち上る爽やかな香りが気持ちを和ませてくれる。
さらにお茶の正しい知識と自分流の楽しみ方を発見できたら、緑茶ともっと友達になることができると思います。

不思議なことに、お茶に興味を持ち始めると他のあらゆることに目が向くようになります。
お茶の味わいは勿論、お気に入りの茶器を探す楽しみや、季節を表した風雅なお茶菓子に感激したり、部屋に活ける草花の名前を覚えたり、四季の移ろいさえもいっそう新鮮に感じられるようになってきます。お友達と気軽なお茶会を開いたりすれば、今まで気づかなかった人柄にも触れて親しみも一層深まります。

こんなに魅力いっぱいのお茶と和やかなひとときを皆様にお届けできることは、何よりも嬉しく素敵なことだと思っております。

株社式会 澤本園
代表取締役 飯野潤子